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人間は考える葦であるー川下と川上の管理は違う

ずいぶん更新を滞りすいません。外はすっかり寒く、紅葉美しい季節ですが、皆さん、風邪ひいてませんか?

今朝、コーチングをしている友人から送られてきた週刊メーリングの記事にハっとさせられましたので、皆様にも共有したく、ここに記します。。以下、彼の抜粋です。

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先般、神戸製鋼の品質不正が表面化しましたが、日本企業の品質が落ちているとの指摘は2年前からありました。

「現場で生産や改善をしていても、その行動の意味や本質を誰も理解していない。

ただマニュアル通りに進めるか、先輩社員からの口述伝授に従うか、先輩社員の行動を見よう見まねで行っているだけ。

これまで大きな問題が起きていないのは、たまたまであって実力ではない」

(2015/12/07 日経テクノロジーより)

日本の凋落につながらなければいいのですが。

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昨今、「考えて仕事してない社員が多くて困る」との相談をよく受けます。”考える力を養うために”細谷功先生の「問題発見力・考える力開発」や「フレームワーク思考」等の発想法研修も開催し始めました。そして、実際のところ、階層をとわず、正解のない問に対し、思考停止や、困惑をされる方が少なくありません。ルールに従うことはできても、自分で状況を判断し、自分で根拠建てしてルールを作れなくなっている。

背景には、「標準化・同一動作」を念頭に置いたルールがすでにある程度確立された中で、それを効率的に生産性高く実行推進することだけを人にしき、それが最上位の価値であった時期が長く続いたことも一因かと思います。

が、今やIOTやAIの新技術目覚ましく、今まで人間に求められていた「標準化・同一動作」はこれらが担い手となり、「人間はより人間らしく」「人間とは何か」-つまり「考える葦である」ことが求められる時代に入ったといえましょう。

今までの川下の価値観をいったん捨て去り、川上の価値観、そして思考と行動をそちらに変えてゆく努力が必要なのではと思いますが、まだまったくとりまく環境や仕組みがそれを容認のが現状ではと感じます。

「多様性」というキーワードが、子育て中の方や介護中の社員と一緒によくとり上げられますが、「多様性」とは、そういった時間的行動的制約の話に終始するのでしょうか?

「異なる発想をする」「前提を疑ってかかる」に新たな価値を見出せるか、共感できるか、認めれるか。それこそが「多様性の本質」であり、スタートだと思います。

「自分は知らないことを知っている」-この言葉を説いたソクラテスは、その時どのような状況にあったか。今も変わらずこれが人間社会のテーマであることに、その意義深さを感じますが、これを自らに問う時代の到来です。

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「2030年の品質保証」~モノづくりからコトづくりへ~